車中エアリアル競技実況中継（年末酔っ払いネタ）

【今日の電車内での出来事】

皆さん、こんばんは。
今年もこの時期がやってきました。
それでは、行ってみましょう。

実況アナ「それでは解説の『サガリさん』、よろしくお願いします。」
サガリ「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

実況アナ「まず初めに『車中エアリアルヨガ』の解説をお願いします。」
サガリ「はい、今はやりの天井から布をたらし、その布を使ってぶら下がりながら行う『エアリアルヨガ』というものがあります。あれの電車内吊革バージョンとなります。」
サガリ「競技者は、たいていの場合酔っぱらっていますので、吊革を使った偶然の演舞が見どころの競技となります。」

実況アナ「私も今回初めて見る競技です。非常に興味深い競技ですね。」
サガリ「偶然が呼び起こすテクニックの数々は見ものですよ。」

実況アナ「さ、次の停車駅は赤羽です。『サガリさん』。この辺の土地勘はいかがでしょうか？」
サガリ「はい、赤羽は朝から空いてる立ち飲み屋も多く、昼からかなりの強者がそろっていますから、とても楽しみですね。」

実況アナ「そうしている間に、赤羽に第一競技者『オヤジ』が入ってきました。」
サガリ「あー、かなりキテますね～。これは期待できますよ。」

実況アナ「あ！ドアが開く前に頭突きかましてます！これは一体どういうことでしょうか？」
サガリ「エアリアルでは『挨拶ではじまり挨拶で終わる』ので礼儀的なものですね。しかし、かなりのパワーでした。益々楽しみです。」

実況アナ「『オヤジ』、入場と同時に優先席の奥に移動しました。この位置取りはいかがですか？『サガリさん』」
サガリ「かなりの技を狙っていますね。優先席付近には『寝たふり乗客』が多いので、安心して演舞可能ですから。」

実況アナ「深いですね。おーーーっと！そうしている間に演舞が始まりましたね。いきなりの『膝カックン』だーー！」
サガリ「あれは膝カックンと同時に吊革をノールックでつかんでますね。それも右手で失敗したように見せかけ左手でつかむというフェイントを駆使しています。難易度高いですよー。」

実況アナ「ああーーーっと！続けざまにスピン１回転半が入りました！」
サガリ「シングルアクセルですね。回った後、逆に半回転してるでしょ？あれを、あそこまで綺麗に回れるのは、相当酔いが回ってますよ。良く調整できていると思います。」
サガリ「この調子で回ってくれれば、もしかすると世界新の点数が出るかもしれませんね。」

実況アナ「そうですね。続けざまに吊革つかみなおしからの、輪っか突っ込み肘かけぶら下がり。いやー、本当に見事な演舞ですね。」
実況アナ「と言ってる間に、北赤羽につきました。『オヤジ選手』、どう出るでしょうか？」
サガリ「もしかすると浮間舟渡まで演舞を継続できるかもしれませんね。それであれば、確実に世界新が出ると思いますよ。」

実況アナ「ここで北赤羽到着・・・おーーーーっと！『オヤジ選手』！なんとここで飛び起きて出口に向かいます！」
実況アナ「あああーーーっと！これは、○○しています！これはハプニングだ！」
サガリ「これはイケませんね。かなりのペナルティーになりますよ。」

実況アナ「あああー！駅構内アルバイトが駆け寄り、イエローフラッグが降られています！これは残念！失格だー！」
サガリ「これは勿体ない。あのまま行けば、確実に世界新だったのですが・・・うまく調整できていると思いましたが、多少酒が多かったようです。調整失敗していますね。」

実況アナ「『サガリさん』どのくらいのレベルが一番よろしいのですか？」
サガリ「意識が無くなっていながらも、目の焦点がギリギリ合う程度に調整できているのが一番なのですが、そこが難しい。少しのミスで先ほどのような調整失敗に繋がってしまうのです。この競技の一番難しいところですね。」

実況アナ「本当に今日は残念でしたが、年末年始は続きます。明日も期待しましょう。」
サガリ「そうですね。明日は昼間から納会の会社が多いので、早い時間からレベル高い演舞を見ることが可能だと思いますよ。」

実況アナ「では皆さん、明日の納会＆忘年会後の電車の中でお会いしましょう！『サガリさん』、今日はありがとうございました！」
サガリ「こちらこそ、ありがとうございました。」

※上記は「ハーフフィクション」であり、実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。