不幸な朝
この物語は、都合によりフィクションです。
登場する人物・地名・団体名は、実際のものとは多少しか関係がありません。

第一部 不運な朝

1998年8月20日 06:40...
その日もいつも通りに目覚ましが鳴り響く。
「う〜ん、寝た気がしないな...」
この所続いている微妙な夜間温度に、なかなか体がついてこないようだ。
「さて、今日も行ってみるか。」
と、おもむろにトイレに身を挿入した。
いつもより、多めに排出されていることに満足し、トイレを後にして朝食を頂く。
「今日は、月見そばです。」
いつも元気な上さんだ。
そばをすすりながらニュースを見ていると、腹のあたりにまたもや違和感が走り
始める。
そばを半分残しながら、再度トイレに駆け込み、本日2回目の排出作業に取り
かかった。
「いや〜、今日はほんとによく出るな。」
2回目なのに、とんでもない量が排出され、びっくりしていた。
トイレを後にすると、続けて残りのそばに手をつける。
その半分も食べきらないうちに、再度腹に違和感が...
<今は我慢だ...出かける直前にしよう...>
そう心につぶやきながら、着替えを済ませ、家をでる10分前に再度トイレに入る。
「ほんと、今日はとんでもないな。」
その時気づくべきだった...
排出された排出物が、通常のものとは少し異なっていたことを...

「行ってきます。」
そういって俺は家を後にする。
エレベータをおり、マンションのエントランスホールをくぐったその時!
<ググッ!!>
例によって、あの違和感が再びよみがえる。
「い、い、いかん。戻るか、それともがまんするか?」
少し考えを巡らすと、徐々に違和感は和らいでいった。
「このまま行くか。遅刻しちゃうし...」
そういって、足を速めて駅に向かう。
駅につき、乗り換え駅のA羽駅をおりて地下鉄の駅に向かう。
その距離は約600m。歩いても5,6分くらいだ。
約3分くらい歩いたとき、またもあの違和感が俺を襲う。
「ぐ、ぐわっ!!」
この違和感は、家を出たときの比ではない。
「ま、ま、まずい。」
「このままでは...が、が、頑張れ!!俺の腸よ!!」
辛い時間が続く。
こんなときは駅までの道は長い。
だが、幸いなことに、これから到着するべく駅のトイレは、あまり使われ
ておらず、トイレはいつもガラガラだ。
よって、ここさえ我慢すれば、開放のときはやってくる。
「頑張れ!!腸!!。もう腸っとだぞ!!」
<くだらない...>
その時、うかつにも多少のゆるみが最大の危険状態を生む!!
「ぐわあああああああ〜」
<しまった、国道の真ん中で、大声を出しちまった。>
焦る俺。
路上を通る人々は、怪しい俺に冷ややかな目線を送る。
「よかった。ここは都会だ。誰も俺の事なんて心配するやつはいねえ」
ほっとしながら、駅の階段を下る。
「もうちょっとだ、もうちょっとでおまえの苦しみを開放できるぞ。」
本当にそうつぶやきながら、駅の改札をくぐる。
さあ、そこを曲がれば、待ちに待った開放される場所に到達する。
入口を曲がったその瞬間、
<な、並んでやがる...>
何てことだ。通常は誰もいないそのトイレは、全て埋まっているどころか、長打の列を
なしていた。

それをみたのか、俺の腸の痛みは吹き飛んだ。
「そうかい、おまえも分かってくれたかい。」
違和感がなくなり、一時休戦となった。
そのまま電車に乗り込んだ俺は、なるべく違和感が発生しないような姿勢(尻を思いっ
きり閉めた状態)をとった。
とりあえず難を去った俺は、この電車に乗っている時間約30分を有意義に過ごした。
そしてついた駅のトイレに駆け込む。
その駅も、普段のトイレはがらがらなので、安心しながら走って駆け込んだ。
今度は、誰もいない。
誰もいないトイレの大に駆け込み、開放のときを待つ。
「・・・・・・・・・・」
優越感に浸った俺は、最後の力を振り絞り、すべてを放出しようと頑張った。
それがいけなかった...
「辛い、辛すぎる...」
一向にとどまることの無い排出物は、更に勢いをます。
「このままでは...遅刻だ。」
時計を見ると、針は8:50を指していた。
どう考えても間に合わない。

「くそっ、くそして遅刻か...ふっふっわっはっはっはっは」
トイレに悲しい笑いがこだまする。
その時俺は、トイレの清掃員が掃除していることにはまったく気づかなかった。

希望により続く......